ゴールデンウィーク3日間集中ワークショップ感想集 2004

アレクサンダー・テクニーク
ゴールデンウィーク3日間集中ワークショップ感想集

以下は国際ヨガ協会編集の“インナー・ムーヴ”に連載された29日から5月5日にかけて宇都宮の喜連川温泉と大分で行われたアレクサンダー.テクニークの3日間集中ワークショップの感想特集です。

尚、それぞれの感想の後に私のコメントを入れさせていただいています。

日本アレクサンダーテクニーク研究会・代表
谷村英司


きつれ川ワークショップ


“外の音に耳を傾け、外のものに視野を広げる”と本当に自分の中のスペースが拡がることに気づきました。前回同様ヨガ友達との参加。でも前回よりも安定して静かに自分のペースで過ごせたように思います。

渡辺 浩子


谷村:そうですね。自分のからだばかりにとらわれて、そのからだがある周りの空間に意識が拡がろうとしていることを忘れ、そのために内的筋肉の活動を邪魔していることがよくあります。


椅子に腰掛けたり、立ち上がったり動作がこんなに力をいれずにできるものかと不思議。こんなに軽く歩けるなんてこれまた不思議。こんなにたくさんの不思議があるということは私の身体や心に私の知らないたくさんの不思議があるということなのでしょうか?

新しい自分に出会うチャンスをもらう3日間でした。

手塚 尚子


谷村:自分自身の中にはまだまだ不思議がいっぱいです。それわかることよりもその子供のような“不思議感”が大切なことではないでしょうか。その“不思議感”から自然な“学ぶ”エネルギーが出てくるように思います。私たちは偉くなるために学んでいるのではありません。


今まで自分が思っていた股関節の位置が変わって、立っている感覚や歩いている動作が拡がっている感じです。お尻が二つに割れていることを実感!

青島 弘明


谷村:私なんかも長い間お尻がひとつになっていて二つに割れていることに気づきませんでした(笑)。


ありのままを感じる前に“良い答え”を捜し求めている自分がありました。拡がること、つながること・・・。もっとシンプルに自分自身を感じてみようと思いました。

長嶋 浩子


谷村:ブルース・リーの映画の中でカンフーの修行中に"Don't Think !Just Feel!"(考えるな!タダ感じるんだ!)と言っていたのを思い出しました。


自分を見つめる、身体を感じると言った作業は、これまでの私の日常生活には思いもよらないことでした。何か感じたか? 何か変わったか? ワークごとに何か自分の中で変化がおきているという感じは受けましたが、それが何か? この変化は本当なのか? わかりませんでした。

頭の中で“変化に驚いている自分”と“感じていることが本当なのか?”という自分がありとまどっているみたいです。


谷村;お気持ちはわかりますが、今はとりあえず自分が感じたことを信じ、素直にその変化を楽しんでみてはどうでしょうか? 起こっていることを考えすぎてことを複雑にしない方がいいのでは・・・。


今回の3日間は、自分の意識に振り回されてどおしでした。少しずつ意識や身体が拡がる感じがわかるようになってきているために、今の態度はどうか? とチェックしてかえって意識や身体を固めてしまうというおかしなところに迷い込んだ感じです。

時々、フッと拡がって軽くなると、次の瞬間にはその軽い感じに持っていこうとしてまた固まる。それをまたやめようとしてさらに固まるその繰り返しでした。

中林 美恵子


谷村:ウ~ン!複雑ですね。(笑)その複雑さの根っこには何があるんでしょう? 道端に咲いている花の“単純さ”を感じてみてください。


ワークを始めて3年、関東の合宿にははじめて参加した。教師は関西のワークショップと同じなのに何かが違っていた。何が違っていたかを考えてみると、

1、 ベテラン、初参加者を問わずよく発言し、よく質問する。
2、 発言の内容も詳細である。
3、 ということは、日頃からよく考えておられるのだと思う

しかし、正直私はそういう作業は好きではない。それは私が大雑把な正確であるからだと思うがあまり理屈で考えず、自分が気持ちよくなればいいのである。そ の理由は問わない。楽しく、気分がよければすべてよし。その点からすれば今回の3日間は楽しく面白いものであった。そして周囲の自然も施設のスタッフも良 かった。5月の風が快く感じられた。

忠海 弘一


谷村:私も理屈っぽいところがあるので、ハンセ~イ!(笑)


ゆったりとした時間の流れの中で、自分自身を見つめる3日間の貴重な体験でした。日頃の何気ない動作の中で自分は固くしていないつもりなのに、自然な動きを邪魔していることに気づかされました。

そのことをひとつひとつ解き明かすかのように、耳で聞き、身体で感じ、外への空間を感じる・・・。何度も何度も繰り返しているうちに固さ(引っかかり) が解け、ひとつひとつスムースに動き始める。そしてそれらが連動していることに気づく。すごい!本当にビックリさせられました。これからもず~っと続けて いきたいと思います。

木脇 純子


谷村:われわれの中にはそういった不思議な調節作用があるようです。それがいったいどんなものなのかは判りませんが、それを感じ、邪魔しないことは学べるのではないかと思います。


合宿は初めての参加。3日目のプライベートレッスンで今まで意識しなかった自分の癖(性格的なもの)がはっきり見えました。これまで他人から言われたりし ていたものが、自分では違うと思っていたことが、エーッそうだったんだ!と納得し、自分を冷静に見ることができました。スゴイ!発見でした。

永瀬


谷村:人に言われて直すのではなく、自分で気づいて納得しなければ本当の変化は起きないものだと思います。


2回目の喜連川の合宿です。気づきのためのグループワークでからだ全体に意識が拡がり、外側(小鳥のさえずりや車の音)気持ちを向けてみると、からだの内側から自然に拡がりつながってゆくのがわかります。

わかっていても直らなかった私のパターンが理解されそこからは自然に開放されてゆくのを感じました。


谷村:そうですね。“開放しようとする”のではなく自然に開放されてゆくものなんです。


中白先生には胸や背中のふくらみや落ち込み、谷村先生には腰やお尻の無くらみや落ち込みを気づかせていただきました。「えっ? どうだったの!」というの が感想です。心の静けさ、自分の理想、結果を求める気持ち、いろいろなことがからだのバランスに影響すること。考えさせられました。焦らないで、頑張らな いででも諦めないでやっていこうと思います。大丈夫だと思っていた腰がかえって痛くなりました。感じやすくなったのかな?大事にします。

木暮


谷村:今までよりもよりよいパターンが生まれてくるときに“痛み”が生じることがあります。でもこの種の“痛み”は2,3日すると自然に消えてゆきますので心配はありません。


アレクサンダー・テクニークの繊細さを「わかろう、わかろう」としすぎていました。この強い思いが身体から自然に起きてくる内的筋肉の活動を邪魔し、感覚を 覆いを被せてしまってわかりにくくしていたのです。“自然にわき起こってくる嬉しい感じ”などは本当はとても大切なものだと言うことに気づかされました。 今まで「この感じは子供の特権であって年を重ねた大人はそんなにストレートにこのことを楽しんでもしょうがないだろう」とくらいに考えて軽んじていまし た。もっと言葉で納得できることはないかと捜し求めていました。でも、本当はこの素朴な感じ方こそがとても大切なことだったんですね。この自然に起きる感 覚の中にどっぷり浸かり、喜んだり、起こったり一瞬一瞬を大切に過ごせたら、それだけでもいいのかもしれません。それが頭でわかろうとすることから開放さ れる道かもしれないと感じた喜連川の合宿でした。

大谷 元子


谷村:素晴らしい気づきですね。何も言うことはありません。


今年の集中合宿は昨年にも増して気持ちのよいものでした。

グループワークの時「ラ・ラ・ラ ♪♪ と歌ってみたらいいよ。歌いながら歩いてみてごらん」英司先生からの思いがけない言葉かけがあった。何かそれがおかしくて、そしてうれしくなって、「ラ・ラ・ラ ♪♪」と歌って歩いてしまった。はずんでみたくもなったので、弾んだ。

『歌っているのは私だけ? 何故みんな歌わないの? 声を出していいのよ、弾んでいいのよ』こんな思いがチラッと頭をかすめたけれど、『他人はどうでもい いや・・ラ・ラ・ラ』子どもの時のようだった。天気がよくて花が咲いているとスキップしていた自分を思い出した。『意図するのではなくて、湧き起こってく ることを大切にするとこうなるんだ』人からはハイな状態見られるのかとも思ったけれど『いいやー ラ・ラ・ラ ♪♪ ワークをむずかしく考えなくてもいい んだ、これで』合宿が終わっても「ラ・ラ・ラ」の気持ちよさは、その後につづくゴールデンウィーク後半を笑顔の連鎖へとつなげてくれた。感謝。

益子 篤子


谷村: 私が言う「内的筋肉」の活動も「ラ・ラ・ラ ♪♪」と音楽みたいなものです。私たちはその流れを、響きを考え込むことによって邪魔してしまうんでしょう ね。そしてダイレクションとは意識の矢印みたいなものです。要はその矢印が外に向かって放たれているかなんだと思います。「ラ・ラ・ラ ♪♪」と歌ってい るときは私たちの意識の矢印は外側に向いていると思います。


大分ワークショップ


やはり3日間(個人レッスンとグループワークの3回)は、スゴイ!と思いました。以前は“心地よい”、“何故自分ではできないのだろう?”などで終わっていたのですが・・・。

今回は特に自分が外側を見ていないことがよくわかりました。外側に意識をオープンにすると涼しく、爽やかな・・・わくわく嬉しくなりました。

1、 膝や腕、頭を動かすときに最初は繊細な動きができなかった。2日目からは小さな微妙な動きができるようになりました。
2、 頭の上に頭があって身体がふくらんでいます。
3、 首や体のスペース感が嬉しい!楽しい!おもしろい!

仲 ゆきこ


谷村:そうですね。やはり3日間の集中ワークは皆さんにとって効果が大きいと今回改めて私も痛感しました。


自分自身の中にある内なる流れ・・・。見つけられそうで見つけられなかったり、ある時ふっと「あれこれかなあ~」と気づいたり、なかなかとらえどころのないものですねえ。

でも、何年もかかって少しずつ芽を出してきたこの流れの感覚・・・。自分のありのままの姿を思い出させてくれそうで楽しみです。

それにしても毎回違ったワークの手順でちょっと混乱したりもしましたが、先生の研究熱心さには頭が下がります。自分自身でも自分にあったワークを見つけてみたいなと思っていますのでご指導よろしくお願いします。

西田 卓弘


谷村:それは煙のようなもので手の平で捕まえようとすると指の隙間からスルリと抜け出して消えてしまいます。そこでその握った手の平を大きく広げてそのままにしているとそれが再び何処からともなく手の平の上に現われて舞い始めます。


腰 が楽でいつもより高い位置にあると感じました。横になって脚を動かした時、今までは「スムース、軽い」としか感じなかったのですが、今回はお尻の筋肉一本 一本につながりと関わりを感じ、背中の筋肉もそれに順じている事が感じられました。背骨のひとつひとつにスペースが生じ、それらが透明な存在に感じました。

前回ぐらいから期待せず“からだと心のメンテナンス”と思って参加させていただいています。しかし大分は私にとっては地元なのでそこから少し離れた場所でのワークの方が楽しいです。次回の神戸もよろしくお願い致します。

佐藤 陵子


谷村:“からだと心のメンテナンス”いいですね。アレクサンダー・テクニークの宣伝用ロゴに使えそうです。


今まで2回のワークショップに参加して、感じることはただからだが軽くなるということだけでしたが、今回はそれに加えて他の人たちから伝わってくる“何か ”を感じることができました。アレクサンダーで感じたこと、理解したことを日常生活の中でなかなか活用できない自分に対して不満を感じていましたが、少し ずつ起こってくる変化を実感して焦らず続けていこうと改めて思いました。

山下 愛


谷村:そうですね。アレクサンダーを通してより正確に自分自身を理解するにつれて、日常の生活の中で自然にそれは活かされていくものだと思います。


1、 プライベートレッスンの時は、からだの拡がりしか感じなかったのですが、終った後疲労感で車の運転も慎重に家に帰り着き、そのあとドーッと倒れこんだまま夢の世界に入ってしまいました。でも、朝目覚めた時にはとてもすっきりした気分でした。

2、 グループワークでは、時々は自分を見つめること、ものとの距離感を感じることによって物事がスムースにいき、からだも楽になるということに気づきました。

大塚 雅子


谷村:日常の生活では気づかない、知らず知らずに溜まりこんだ“疲れ”がワークによって浮いてくることがあります。そういう時にはおっしゃるようにしっかり休めば意識もからだもリフレッシュしてすっきりします。


今回のワークショップで私にとって“春”という言葉が心の中から浮かんできたのに驚きました。心とからだがひとつになっていくという感じでした。頭では理解できていないようでもからだでは何かが起こり感じ始めている。そういった体験ができました。

3日間、自分の中での不思議さを楽しんでいました。

阿部 直穂子


谷村:“春”というのは唐突なようだけどなんとなくわかるような気がします。今まで眠り込んでいた命の息吹が目覚め、花が咲き始める・・・。アレクサンダーは結局そのことを言いたかったんだと私は思っています。


人生80年として、それを気づくか気づかないかでこの“生”がずいぶん違ったものになるということを実感しました。今57歳で残り23年として、3日間の ワークは私にとって“宝”の体験でした。この先学んだことを実践して不安も苦もない充実した生活をしていきたいと思います。そしてますます大分の研究会を 充実したものにしていきたいです。

森澤


谷村:80年なんて中途半端なこと言わないで100年と言い切ってしまいましょう。とすれば残りは43年あります。そして43年アレクサンダー・テクニークを学び続けることができたら、森澤さんの中で驚くべき変化が起こっているでしょう。


3日間の長いアレクサンダーのワークに初めて参加しました。初めて体験するワークも多く、少しとまどうこともありました。先生のお話しを聞き、頭ではわかるのだけれど感覚的にはまだよくわかっていません。

ワークに参加するのは3回目ですが、自分のからだがどう感じているのかということに少しは向けられるようになったと思います。ワークに参加するように なって、仕事などで疲れたときには肩がこっていることに気づけるようになりました。今までは肩がこっているという事さえ気づきませんでした。 また、にぎやかであることを好み、にぎやかでないことを寂しく感じてしまう私でしたが、静かにすることで気持ちが穏やかになったり、落ち着いたりすることを実感し、静かであることを好むことができました。今回のワークも大変自分のためになったと思っています。

合原 菜保子


谷村:“ 静かであること”を好むことができた。これは大きな収穫です。どうしてわれわれは“静かであること”を好まないのでしょう? 私の場合、な~んにもない自 分自身と向き合うことを恐れていました。おそらく“静かであること”を好めるようになるということは、な~んにもないと思い込んでいた自分自身と向き合う ことによって、そこに何かを見出したからではないでしょうか?


今回初めて参加しました。アレクサンダー・テクニークって何だろう? と一日目は考えながら過ぎていきました。皆が「手足が軽くなった」とか「動きがス ムースになった」と言っているのがわからず、焦りさえ感じました。プライベートレッスンでは何だかすっきり気持ちいいなあ・・・。と感じ、帰ってからは久 しぶりにグッスリ眠ることができました。

2日目は先生の話しを聞き何となくアレクサンダー・テクニークというものの感じがわかってきました。しかし、プライベート・レッスンでは先生から「どう ですか?」と聞かれ何にも感じることができない私に「心とからだがバラバラになっている」と言われショックでした。今まで生きてきた中で、周りの生活にと らわれ、自分の心の信号を聞き取ることができなかった。いろんな病気をしてきたのもそのせいだったのかな・・・。自分自身に無理をしてきたのかな・・・。 などといろいろ考えさせられました。

3日目は先生の話しで自分自身から発するものがある。吸収してばかりなのは不安があるからと言われ、ほんとに自分はそうだなと痛切に思いました。ものを 自分の周りに置くことや行動して何か楽しいことはないかといつも思っていました。これは自分自身に何もないからだということに気づくことができました。

自分自身から発することができるのだということは頭では理解できたけれどまだ、実感はありません。今後この研究会に参加していく中で少しずつ心に感じるものができてくるのでしょうか? 今後も参加していきたい!そして自分自身を発見していきたい!と感じています。

工藤 雅子


谷村: 短い3日間にこれだけのことを感じ、考えておられたということはいったいどういうことなのでしょう? そして今後も参加していきたい!自分自身を発見して いきたい!と言うあなたの思いは何処から発せられたのですか? もう既にあなたは自分自身から発し始めておられるのではないでしょうか?どうかその気持ち を大切にして下さい!


アレクサンダー・テクニークを受けつづけるごとに少しずつですが自分の意識が変わってきているのがわかります。まず、からだと心は一体であるということ。 からだと意識がバラバラだとからだが固くなり、相手を思いやる事もできず、自分自身も苦しくなるということがわかってきました。しかし理屈はわかっていて も一体になれないときが多いのが今の自分です。

これからも機会あるごとにもっと勉強して自分自身が楽になり、相手を思いやり、互いに楽になれるような人間関係ができたら幸福だなあと思っています。

土屋 京子


谷村:そうですね。私自身もそういう自分になれたらいいなあといつも思っています。


何処で呼んだか思い出せませんが「美しい花はあるが、花の美しさというものはない」という言葉が頭に残っており、その意味がやっと解けてきたような気がします。咲いている花は確かにそこにあるけれど、その花の美しさをどうのこうのと言うのは、単なる観念に色取られた幻想でしかなく、それに振り回されて身動 きできなくなることによって夢見るドリーマーが誕生する。それが以前の私でした。  単純に、でも確かに周りの木や花や空気と同様にただ今ここにいる私、それだけでいいじゃない! それ以上に何を求めるの? という安心感、充実感が芽生えてきているように思います。今なら見知らぬ人の中でも寂しさや孤独を感じることなくその中の一人として私は確かに生きているという幸せ感がじわじわと染 み渡るように感じます。同時にからだの芯はしっかりしているけれど、周りの空気に触れている皮膚のすべてが柔らかく呼吸しているような新しい感覚がありました。その感覚はドンドン周りを包み込み、その中のすべての呼吸をも感じ取れるような、そして自分の呼吸とあわせていこうとする何かが私の中から湧き出すような感覚です。上手く言い表わせませんが幸せ感と言える実体験です。

無記名


谷村:実に多くのことに気づかれているようですね。緒者っていることは理解できますが、これらのひとつひとつことをもう少し冷静に整理されてみてはどうでしょう。そうすることによってあなたの中でより正確に、ストレートにそれは現われてくるように感じました。