リカ・コーエン先生 インタビューを終えて

日本アレクサンダーテクニーク研究会・代表
谷村英司


今年もリカさんが5月10日から約20日間来日されました。そのほとんどの期間、私と中白順子さんはリカさんとワークを共にしました。ワークに対するその真摯な態度は相変わらずで、そんな忙しい合間を縫ってのインタビューでした。

その中でも個人的に印象に残った言葉は「自由の再獲得(regain of freedom)」で、それと関連した「刺激に対する反応の“選択”」、「習慣の犠牲」、という言葉でした(先月号)。つまり、われわれはともするといつ の間にか自分自身で作り上げてしまった習慣の犠牲、あるいは奴隷になってしまっているがゆえに、内外の刺激に対して反応するその瞬間にその反応を選択でき ないでいるということです。ここのところがATの大変面白い、且つ重要な捉え方のひとつだと思います。私は、ATを学ぶまでは自分自身を自由にさせている と思っていたし、そのことが良いことだと信じていました。ところがそれは大きな間違いでした。上の話しで言えば私は単に私の習慣を自由にさせていただけ で、それは習慣の虜になっているのであって本当の自由ではなかったのです。

そしてこの本当の自由はこの習慣から解き放たれ、自己の反応を自分自身で選択できてこそ意味のあるものだということにも気づきました。つまり自由というの は、われわれが自己の反応を選択できるための条件であり、選択するものを持っている人にこそ是非とも必要なものだということです。そういうものを持たない でただ自由を求めても意味を成さないものだということがわかってきました。リカさんが今回の来日でどこへ行ってもみんなに自分で考え、自分の考えをしっか り持ちなさいと何度も言われていたことの意味がわかってきました。