2015 イスラエル研修ツアー

"天候は大変でしたが平和そのものでした"

前回にお知らせしたように、第一陣は3月21日(土)~4月1日(水)、第二陣は4月4日(土)~4月15日(水)それぞれ1日6時間、10日間のイスラエル研修ツアーをしてきました。

通訳でトレーニングコースで勉強中の船坂孝江さんと教師の中白順子さんは一陣、二陣両方に参加されたので、合計で26日間のイスラエル滞在。そのお蔭でリカさんが住んでおられるテルアビブの街にすっかり溶け込まれていました。

第一陣は天候に恵まれて快適な日々だったようですが、第二陣の私たちは寒暖の差が激しく、激しい雷雨や風雨、おまけにヒョウまで降って大変な天候でした。

イスラエルと聞くと今騒がれているイスラム国の近くで治安が悪いのではと思われる方が多いようですが、そんなことはありません。国内はセキュリティがしっかりしていて街の中は上の写真のように露店が並び、海岸では日光浴と日本では想像もできない風景で、平穏そのものでした。


"リカさんはお元気でした"

そしてリカさんも80歳近い年齢にもかかわらずご健勝で、元気いっぱいのワークでした。個人的にはご主人のシュロモさんと共にお元気なお姿を見られて本当にうれしかったです。第一陣の方々から帰国後、話を伺ったところ、お会いした途端、元気なお二人の姿を見て、みんな思わず涙ぐんだとのことでした。10年以上ものお付き合いの中で知らず知らずのうちに友情がはぐくまれて、すでにリカさんはわれわれにとって大変大切な存在になっていたようです。そしてリカさんも同じ気持ちであることがお会いした瞬間にわかりました。

考えてみるとこれは不思議なことで、われわれ普通の日本人には縁もゆかりもなさそうなイスラエルという地に住んでいる人がこんなに一人一人の心の中で大切な存在になるなんて、誰が予想できたでしょう? 神様は不思議なプレゼントをわれわれに与えてくださったようです。ATをしていて本当に良かったと思います。

そんなわけで以下はリカさんとのワークの中でそれぞれが心に響いたリカさんからの言葉を思い出してもらい、その感想を語ってもらいました。まずは私から・・・。

"こんなグループは世界でもそんなにない"

今回の研修でリカさんがおっしゃった数々の言葉の中で印象に残っているのは、「あなた方はとってもいいグループで、こんなグループは世界中を見てもそんなにない。だからこれからも自信を持ってエイジやジュンコを中心にATの技術を研鑽しなさい。」というものでした。

実を言うと、これは私自身も世界のATを見ていて多少は自負しているところでした。そんなことは自画自賛しているようでとても言えませんけれど。

ATの世界は一般的に3年間のトーニングコースを修了すると、もうスクールでお互いを研鑽することはなく、個人個人が自分自身のAT解釈を進めてしまうという場合が多いのです。ですからわれわれのように卒業してもなお根気よく自己を研鑽するために、意見と技術の交換しあえる仲間は少ないのです。なぜなら同僚や後輩と自分自身を比較して劣っているとか、優れているとかというレベルに陥ってしまうからです。そんなことをするためにみんな集まってワークをしているのではないのです。ただただ自分自身を研鑽するためにやっているのです。このことを肝に銘じ、注意深く、ワークを進めて行かないと、先ほど言ったつまらない、良くない状態に陥ってゆきます。そしてグループは崩壊してしまうでしょう。事実、世界中のグループでそういうことが起こっているのです。リカさんもそのことをよく御存じでわれわれを見ていて、そういうところに陥らないで皆よく頑張っていることを感じられたのだと思います。

そしてリカさんはATを研鑽し続けてなんと60年です。AT年齢が60年という人は今の世界中を見回してもいないと思います。いわばATの経験と知識と技術の宝庫なわけです。とりわけ彼女のハンズオンの知識と技術は目を見張るものがあります。世界中を見てもここまでATのハンズオンを深く理解している人はいません。ですから、ちょっとおこがましいですが、彼女のこの経験、知識、技術をわれわれのグループで受け継いでゆきたいと思っています。そしてこの日本で世界に類のないスクールとして今後も成長を続けてゆきたいと思っています。


「英語でレッスンできるようになりなさい」
中白順子

今回でイスラエルでの研修も4回目となり、よく知ってる街並みや毎回宿泊するホテルを見ると、安堵の気持ちが湧いてきました。

そして、楽しみにしていたリカ先生のレッスンですが、安堵の気持ち(?)が助けてくれたのか、1日目リカ先生のレッスンを通して、今までクリアじゃなかった細かい点や確認したかったことが、次々と明確に感じ取ることができました。そして、リカ先生の教室からホテルまでの帰りの道を歩るくと、いつもより地面と足(フット)が対抗しやすく、早く前に進むことができ、胴体と腕や足が更に離れ、つまり拮抗していて、関節にいつもよりスペースがあり、手足のパーツパーツが自由な体感覚でした。

体の内側の働きを感じ取っているのですが、映像として、視覚から見ているような? 不思議な感じでした。

 それに、リカ先生は私の体の部分部分をタッチせず、私の頭をタッチするだけで、首をアンロックし、頭を前に上に、背中が長く広くと方向づけされたのでした。新たでトータルな協調作用を感じた経験でした!

リカ先生からは、「貴女は英語でレッスンできるように、しっかり英語を勉強しなさい」と言われました。何年も前から自分でも思っていましたが、まずはレッスンと思い、英語を後回しにしていました。今年こそ頑張ります!

そして、一番の目標はリカ先生から学んだ基本を、自分のワークや日常の行動に活かせ続けることです。

最後になりましたが、今回も行く前から松嶌会長や谷村先生には、リカ先生への連絡などお世話になりありがとうございました!

そして、ご一緒してくださった皆さんお世話になり、ありがとうございました。私にとって良い研修旅行となりました。



「自分自身にもっとレッスンしなさい」
鹿島啓子

リカさんと初めてお会いしてから15年の時を経ての今回のレッスンでした。イスラエルでのレッスンも今年で4年目となります。

初日、ホテルからリカさんのスタジオまでの馴染みの道。そこを歩く周りとは雰囲気の違う私たち異邦人6人でしたが、街の空気に溶け込んでいました。

そしてリカさんとの一年ぶりの再会は、お顔を見た瞬間、お互い感激と安心感からか、温かいものを感じる感動の再会となりました。そのためかレッスンでは今まで感じたことがないくらい落ち着いた状態で受ける事が出来ました。

そしてリカさんが私にハンズオンしていた時でした。協調作用が働いた瞬間私の目をみて「ケイコ! わかる?」と言われているようで方向性を通してリカさんと無言の対話ができ、内側の働きもリアルに感じ取ることができました。

特に今回は1日1日のレッスンの大切さを身にしみて感じました。

それと今回不思議な体験をしました。私の胸に火が灯ったようにあたたかく、燃え続ける感覚が毎日ありました。 それは学びの中で感じた感動か?リカさんへの感謝か?いまだに解りませんが…

リカさんからの助言

まず、自分自身にもっとレッスンをしなさい。そして学んだことを生徒さんにしっかり伝え、ATを日常生活に活かしなさい。と言ってくださいました。この言葉を忘れないように、目標にし、前に前に進んで行きたいと思います!

最後の日、リカさんが「来年またイスラエルに来る人は?」と聞かれたら私たち全員小学生のように「ハーイ!」と手を高く上げていました。皆で大笑いしました。

来年も行きますのでリカさんどうぞお体を大切になさってくださいね。


「コミュニケーションの力をつけなさい」
井上由美子

今回リカさんにお会いして、大切にしたいと思った言葉は、「コミュニケーションの力をつけなさい」というものです。生徒に何を伝えるべきかをしっかりわかっていれば、心がオープンになり、ATを教えることが楽しくなるとも言われました。そして実際にリカさんにハンズオンする練習で、その前に今から何をするのか? その目的は何か? 説明し、そのワークの中でタイミングよく起こってほしいことを伝えなさいとのことでした。

自分の考えをしっかり持つことで、雑念が減り、今この瞬間に何をすべきかが見えてきました。

これまでは自分の考えばかりを見ていましたが、これからは、できるだけ心をオープンにして相手を見て、交流しながらワークができるようになりたいと思いました。



「空っぽだったけど 充実してきたね」
喜多千絵

リカさん(私の手を取って)「前は手が空っぽだったけど充実してきましたね。」

10日目。生徒に何を教えたいかと聞かれ、指先だけのコンタクトで立ち座りやつま先立ちなどの動作をするエクササイズを選びました。私がリカさんの指先に、自分の指先をしっかり引っかけると、リカさんはにっこりして「Good!」とおっしゃいました。教師と生徒の接点はたったそれだけなのに、とても伝わるものがありました。アップとは、コンタクトとは、強さとは、広がりとは、足裏の対抗とはそして原理とは、行為とは、人が生きているという実感とは…。大げさかもしれませんが、その人の中身が指先だけで感じられる奥深さをこのエクササイズで学びました。

今回の研修を整理してきて思うことは、リカさんは生徒にワークをする、ということを通して、間接的・実際的・結果的には、生徒の中身、人間性に触れ大切にし、じわじわとその人の状態(身体、認識)を変化させてしまう、ということです。ある意味見通してしまっていることに気づきました。リカさんの前に立ち、レッスンを受けると私のことは丸見えなのかもしれません。私の身体はそして様子は、自分でも気づかないレベルで客観的に私の現実をそのまま現しているのかもしれません。その人の身体だけでなく、その人の人間性を相手にしてワークをされているリカさん。それは本当に大変で、少し間違えると複雑になりかねないことだと思います。でもやりたいことや事実をごまかさず、困難に挑戦されているリカさんは魅力的だと思いました。私はテクニックだけでなく、リカさんのそういう姿に多くのことを学びました。

そしてもうひとつ、今回自分なりにですが、何事もぎりぎりまで決めつけず観察する、ということができました。いろいろなことがあったのに、最後まで私の内面は静かで穏やかで安定していたのは、いちいちあれこれコメントする自分が、あまり表れなかったからかもしれません。ワークや日常、海外研修を通して、私は自分の習慣と観念と現実に向き合い、どうしたらより静かに明確にシンプルに自分らしく楽しく生きられるか、実験・挑戦させてもらえました。このような機会に恵まれ幸せです。そしてできることをした自分がいた、その事実が私の自信になりました。まだまだ答えは探し続けますが、たくさんのヒントを得られたことは確かでした。

共に過ごした皆さん、ありがとうございました。


この編集を終えた頃に、リカさんから以下のメールをいただきました。「ちょっと褒め過ぎじゃないの?」と思えるくらいの嬉しいメールですが、けっしてこれはヤラセではありません。リカさんはそんなお世辞を言う人ではありません。良いものは良い、悪いものは悪いと言える率直な人です。彼女からのこのメッセージを皆さんに知らせることにより、研究会で学ぶことに誇りを持って、自信を持ってもらえたらいいと思っています。もちろん、一歩間違えばこの誇りは学ぶことを邪魔してしまいますが、自分自身を高いレベルに置くことは良いことだと思います。「私なんて・・・」と言って自分自身を低く見積もって、安全なところにいようとすることは姑息なことのように思いますから。


教師全員がこのテクニークをいかに実践し、指導するかをよく理解されているなか、
特にジュンコさんはすばらしく、エイジさんは実に偉大な教師だと思います。
私は日本の、あなたのアレキサンダー・テクニーク・スクールが素晴らしく、
世界で最高水準のATスクールのひとつであるとともに、あなたがたがこれからも学びを深め、あなたの美しい国じゅうにATを広げてゆかれることを確信しています。

これからのご活躍を祈り、感謝をこめて

草々

リカ
Rivka Cohen

日本アレクサンダー・テクニーク研究会